上の図をご覧下さい。
別冊判例タイムズ38号「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」では、上の図のような事故について、基本的過失割合を、後続車30%:進路変更車(前の車)70%と定めており、修正要素として、後続車のゼブラゾーン走行については、後続車の10~20%加算することとしております。
その結果、上のような図の事故では、他に修正要素がなければ、ゼブラゾーン走行の後続車40~50%:進路変更車(前の車)60~50%、ということになります。
さて、基本的過失割合については特に問題ないと思いますが、ゼブラゾーン走行による後続車の過失の加算修正は10~20%で足りているでしょうか?
たしかに、前の車は進路変更をして衝突している以上、ゼブラゾーン走行の後続車との関係でいえば、半分以上前の車の過失となることは妥当、とも考えられます。
ただ、一般人の感覚からするとどうでしょうか。
前の車の運転者は、自分はゼブラゾーンに沿って誘導に従って右折レーンに入ったのに、ゼブラゾーンに従わずに後ろから走行してきた車に当てられたので、基本的には相手が悪い、という感覚を持つことも多いのではないでしょうか。
ゼブラゾーンは導流帯というもので、走行自体が禁止されているわけではありません。
しかしながら、通行車両の安全かつ円滑な走行を誘導するために設置されているものであるため、みだりに進入すべきではないと考えられています。
また、ゼブラゾーンは交差点手前で右折のために設けられていることが多く、後続車も前の車と同じようにやはり中央の車線から右折車線へと車線変更をしており、ただ先行の車よりも少し早いタイミングで(しかもゼブラゾーンによる誘導に従わずに)進路変更をしていたというにすぎない場合も多いのではないでしょうか。
そうすると、もう少し後続車の過失が高くてもおかしくはないように思われます。
さて、どちらの考え方もあり得ると思いますが、ゼブラゾーンの役割・重要性をどう考えるか、どの程度機能させたいのか、によって結論が変わってくることになるでしょう。
以上、ゼブラゾーン事故の過失割合について少し気になったので、記事を書いてみました。
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