民法を改正する法律が、本年5月26日に成立しています。
施行されるのは、公布日である平成29年6月2日から3年以内とされており、具体的にはまだ決まっておりません。
さて、この改正により、交通事故の損害賠償に関しても、いくつかの影響が出ることになりました。今回は消滅時効についての改正をご紹介します。
改正前の民法724条は、「被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。」という内容でした。
つまり、人身事故でも物損事故でも、損害賠償請求権は3年の時効(または20年の除斥期間経過)により消滅することになっていました。
改正後は、民法724条の内容は基本的にはそのままで(ただし、20年の消滅の法的性質について、除斥期間から時効期間に変更されました。)、新設の民法725条で、「人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効」については、民法724条の3年間とあるのを5年間とする、と定められました。
これにより、物損事故の損害賠償請求権は3年(20年)、人身事故の損害賠償請求権は5年(20年)の時効により消滅することになりました。
人身事故の被害者にとっては消滅時効が完成するまでの期間が長くなったので、被害者保護につながる改正といえます!