交通事故の世界では弁護士費用特約がすっかり定着し、今や交通事故以外の分野でも弁護士費用保険、弁護士費用特約は広がりつつあります。
さて、実は、損害保険会社によって交通事故の弁護士費用特約の内容が異なることを皆さんご存じでしょうか?
使える場面や弁護士に支払われる金額などに違いが見えます。
まず、契約者本人が運転中や歩行中に交通事故にあえば、弁護士費用特約を利用して依頼した弁護士の費用を一定額の範囲内で保険金で支払ってもらえることは、どの会社もほぼ同じでしょう。
通常は、配偶者や同居の親族など、契約者以外の人があった事故についても弁護士費用特約を利用できる場合があることになっているのですが、利用できる人の範囲が損害保険会社によって違っているのです。
特に、契約者とは別居している親族について、(どのような条件で)(何親等まで)利用できるか否かは損害保険会社によって違いが見られるように思います。
次に、弁護士費用として支払われる保険金についても、違いがある場合があります。
着手金、報酬金など主な保険金の額や内訳については、基本的には旧日本弁護士連合会が定めていた弁護士報酬基準を参考に上限が定められているため、各社とも大きくは違わないことが多いのではないでしょうか。
特に、日本弁護士連合会のリーガル・アクセス・センター(LAC)と協定を結んでいる保険会社(「LAC提携保険会社」)については、弁護士費用特約の内容が基本的に定型化されており、LACと保険会社との間で弁護士費用として支払われる保険金について色々と協議を重ねられてルールが定められてきたこともあり、LAC提携保険会社についてはどこも弁護士費用特約はほぼ同じ内容で、弁護士に支払われる保険金の額や内容も同一だと推測されます。
LAC提携保険会社は、以下のHPに掲載されています。
https://www.nichibenren.or.jp/activity/resolution/lac.html
逆に、これを見ると、実は大手でも加入していない保険会社があることが分かりますね。
他方で、LACと協定していない保険会社(「非提携保険会社」)では、独自の内容の弁護士費用特約となっています。
たとえば、LAC提携保険会社の弁護士費用特約であれば利用できるタイムチャージ方式(時間制報酬方式、事件処理に要した時間に応じた報酬が支払われるもの)での弁護士費用の保険金支払いができない(予定されていない)場合があるでしょう。
損害額が少額だが示談で容易に終わらず時間や手間がかかりそうな交通事故など、通常の着手金・報酬金では弁護士報酬が低くなるために、弁護士が受任をしてくれなさそうな事故であっても、タイムチャージ方式であれば、弁護士としても損がないので少額事件であっても問題なく受けてもらえるというのが、一般的な弁護士費用特約の実際上の大きなメリットだと考えられているのですが、上記のような場合にはそのメリットがないということになってしまいます。
もちろんそういった非提携保険会社では、自社の顧問弁護士を紹介することでこのようなデメリットをほぼ解消しているのが実情だと思いますが、保険契約者側に顧問弁護士以外の弁護士に依頼したいとか、変えたいというニーズがあるときに、着手金・報酬方式では顧問弁護士以外の弁護士に受けてもらいづらいという問題が残ることにはなります。
そうすると、非提携保険会社の自動車保険に加入している人(及び一定範囲の人)が交通事故にあって、いざ弁護士費用特約を利用しようと思っても、弁護士費用特約が使えるはずの場面であっても、損害額が少額すぎて想定したいた弁護士に受けてもらえないという思わぬ問題が生じてしまう場合があるかもしれません(場合によっては逆に非提携保険会社の弁護士費用特約がLAC提携保険会社の弁護士費用特約よりも有利な内容となっているケースもあるかもしれませんが)。
交通事故で被害を受けることは多く、弁護士費用特約が利用できる場面は少なくありませんので、これを機会に、ご自身やご家族が入っている保険の弁護士費用特約の内容や、LACと提携しているか否かを再確認しておかれるとよいかもしれませんね。
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